――たくまさんをご存知ですよね?
まて、まて!ちょっとまてっ!
何だその質問は?
お前、たくまを知ってんのか!?
《二風氏が突然血相変えて詰め寄ってきたので一時中断、事情を説明した後、再開した。》
――あらためて、たくまさんについて伺ってよろしいでしょうか?
ありゃどうしようもないバカだ。
有り余るほどの才能を棒にふった大バカ野郎よ・・・
――大ばか?
いたたっ!
《とつぜん二風氏が胸をおさえうずくまる!インタビュー急遽中止!》
――たくまさんをご存知ですよね?
まて、まて!ちょっとまてっ!
何だその質問は?
お前、たくまを知ってんのか!?
《二風氏が突然血相変えて詰め寄ってきたので一時中断、事情を説明した後、再開した。》
――あらためて、たくまさんについて伺ってよろしいでしょうか?
ありゃどうしようもないバカだ。
有り余るほどの才能を棒にふった大バカ野郎よ・・・
――大ばか?
いたたっ!
《とつぜん二風氏が胸をおさえうずくまる!インタビュー急遽中止!》
――たしかにそうですね。そもそも二風氏ご自身が、その自覚なく『東風のKISSは甘くない』に出演なさっていたというのが驚きなんですが、仁美さんとのご関係を教えて頂けますか?
仁美は孫だ。
仁美を知ってるのか?
――ええ。仁美さんも出演されているので。
ふーん。
――たくまさんとは?
………何!?
――売り物でないサーフボードがお金になるのですか?
俺のとこでは上手いライダーを数人かこってて、そいつらの競技用をけずってたんだよ。
乗り手のくせ、要望、波質、その他いろいろ考慮してな。
そんでその板を使ったもんが勝ちゃぁ、店の宣伝になるだろ。
収益も上がるわけよ。
当然、俺は重宝がられるわなあ。
――ちなみに「けずる」の意味は?
板をつくることだよ!
わかんねーで聞いてたのか!
――すみません。
ご自宅のボードは売り目的ではないということでしたが、中学生に売ってましたよね?
今となっては売るしかねえわなあ。
商売から離れちまったんだし。
(サーフボードが)あれだけあったら邪魔でしょうがねえよ。
――では、もはやドキュメンタリーですね。
ど、どきゅ?
日本語で言ってくれねえか、兄ちゃん。
言葉がむずかしいんだよ。
――そのぉ~…、台本というか、台詞や演出などは無いんですよね?
ない、ない!
――二風氏のご自宅にサーフィン用のボードがたくさんありましたが?
むかしけずったやつだ。
――サーフショップを経営なさっていたんですか?
いや。
雇われよ。
別の下の者にけずらせるんだ。
そいつに「こうしろああしろ」と指示してな。
でも、いいカネもらったなあ。
いい時代だったよ。
――じゃあ、相当売れたんですねえ!
ばかやろっ!売りもんじゃねえよっ!
――さっそくですが『東風のKISSは甘くない』に出演が決まった経緯を?
千葉テレビのやつだったか…県民の日常を取材してるってんで密着させてやってんだよ。
ちゃんとカネもらってな。
その、出演とかなんとかってのはよくわからねえなぁ。
まあいいけど。
――ではご自身が出演されていうことはご存じではなかった?
いや、契約書類にいろいろハンコ押したからまあ、そういうことなんだろ?
いちいち(契約)内容なんかみてねえよ。
それにこっちはもらうものさえもらえりゃ文句ねえんだ。
家の周りで(カメラの設置など)何やらやってたが、みられて困るようなもんなんか無えし。
この辺(外房)の連中は皆、そんな契約の細かいとこなんか頓着しねえよ!
「話すだけでこんなにもらえるなんてなあ!
あとになって返せっつったってきかねーぞ!」
そういってインタビューの謝礼金の額を確認するのは
現在、『東風のKISSは甘くない』にご出演中の二風又市氏。
二風氏には、出演決定に至るまでの経緯や、撮影中のエピソードなどを語っていただいた。
――たくまさんをご存知ですよね? まて、まて!ちょっとまてっ! 何だその質問は? お前、たくまを知ってんのか!? 《二風氏が突然血相変えて詰め寄ってきたので一時中断、事情を説明した後、再開した。》 ――あらためて、たくまさんについて伺ってよろしいでしょうか? ありゃどうしようも...